「自分で決められる子になってほしい」
そう思っているのに、
気づけば「こっちのほうがいいんじゃない?」と先回りしてしまうこと、ありませんか。
失敗させたくないし、遠回りもさせたくない。
その気持ちは、とても自然なものだと思います。
でも一方で、ふとこんな不安もよぎります。
このままで、この子は
自分で考えて、選んでいけるようになるのかなと。
そんな中で、今回話を聞いたのは、
「自分の人生が楽しいと思える」「自分のことが好きと言える」そんな大学生2人です。
・進路を「なんとなく」ではなく、自分の意思で選んできた
・うまくいかなかった経験も、自分なりに受け止めている
・親に相談はするけれど、最終的には自分で決めている
いわゆる“優等生”というよりも、
迷いながらも、自分で選び続けてきたタイプ。
では、こうした子どもたちは、
どんな家庭の関わりの中で育ってきたのでしょうか。
特別な教育やルールがあったわけではなく、
話を聞いていくと見えてきたのは、
日常の中にある“ちょっとした関わり方”でした。
インタビュー対象
ゆいさん(22歳・大学4年生)
中学受験では第一志望に届かなかったものの、その経験を前向きに受け止め、進学先で自分なりの目標を見つけてきた。大学進学においても、偏差値や周囲の評価ではなく「自分がどう学びたいか」を軸に進路を選択。環境に左右されず、自分なりの意味づけをしながら選択を重ねてきたタイプ。
ともかさん(20歳・大学2年生)
幼い頃から親との会話が多く、自分の気持ちを言葉にする習慣が自然と身についている。進路や日々の選択においても、親に相談はしつつ、最終的には自分で決めるスタンスを持つ。人間関係や将来についても、自分なりの軸で考え、選択している最中。
日常の「会話の量」が、考える力の土台になっていた
2人の話からまず見えてきたのは、
家庭内での会話の多さでした。
ゆいさんは、
「楽しかったことなど、他愛もない話をよくしていました」と話します。
ともかさんも、
「嫌だったことも含めて、いろんなことを話していました」と振り返ります。
ポジティブなことだけでなく、ネガティブなことも、ささいなことも。
そのすべてが、日常の中で自然に共有されていました。
こうした積み重ねが、
自分の気持ちや考えを言葉にする機会を増やし、
「自分で考える」ことの土台になっていたようにも見えます。
2人はなぜこのようにたくさん親と会話をできる関係性になっていたのでしょうか?
2人の性格もあるとは思いますが、親の姿勢にそのヒントがありました。
「どうするべき?」の前に、「どう思ってる?」を聞く
この“会話”のあり方について、
牧師先生は次のように話しています。
子供がなぜそういう言葉を言っているのか、その言葉を発した根本の原因がある。だからひとまず聞いてあげなければいけません。理解しながら、答えをあげようとしないでください。
子どもの言葉には、そのままの意味だけでなく、
そう言わざるを得なかった理由や感情が隠れていることがあります。
「そうなんだね」
「どうしてそう思ったの?」
そんなふうに、少し立ち止まって聞いてもらえると、
子どもは「話していいんだ」と感じられるのかもしれません。
先生も、
「すぐに答えを出そうとせず、理解しようとする姿勢が大切です」
とおっしゃっていました。
実際に今回の2人の家庭でも「まず話を聞いてもらえる、という安心感があった」ということは何度もインタビュー中に話しに上がっていました。
否定されない安心感が、「自分で決める」につながる
もう一つ共通していたのが、
否定されない安心感でした。
ゆいさんは、
「やりたいことは、基本的に応援してもらっていました」と話します。
ともかさんも、
「ダメなときも、ちゃんと理由を説明してくれていました」
「何かアドバイスをくれるときも、100点満点なんだけど、1個改善するならこう、というようにまず褒めてくれる。」
と言います。
・まず話を聞いてくれる
・気持ちを受け止めてくれる
・最後は味方でいてくれる
そんな関係の中で、
「自分の考えを持ってもいい」と思えるようになり、
それが「自分で決めること」につながっていったのかもしれません。
「子どもの人生だからこそ、一緒に考える」
進路のような大きな選択についても、
印象的な考え方が共有されていました。
牧師先生は、
「子どもと相談して行いなさい」
と話します。
また、こうもおっしゃいました。
親は子供の心配だけをするのではなくて、子供のためにいつも真心込めなければならない。親は子供に詳しく説明をしてあげ、全てのことを解いて、解いて話してあげなさい。
ゆいさんは受験が希望通りに行かなかった時の親御さんの対応についてこのように教えてくれました。
「中学受験は第一志望、第二志望に落ちてしまった。
落ちたことに対して、ネガティブに言われることもなく、過剰な慰めもなかった。感情に寄り添うだけ、ということでもなく、通うことになる学校の良いところを一緒に探してくれたりした。」
親としてできるのは、
情報を伝えたり、一緒に考えたりすること。
「この選択にはこういう良さがあるよ」
「こっちはこんな大変さもあるかもしれないね」
そんなふうに材料を渡しながら、
一緒に考えるスタンスが大切なのだそうです。
決めるのはあくまで子ども自身。
でも、一人で背負わせるのではなく、隣で考える。
そんな関係性になれたらいいですね。
「相談できる関係」があるから、決められる
この点については、聖書の中でも
箴言15.22 相はかることがなければ、計画は破れる、 はかる者が多ければ、それは必ず成る。
と書かれています。
「互いに相談しなさい。
話し合いがなければ、物事は成り立たない」
ということです。
一方的に決めるのでも、任せきりにするのでもなく、
対話を重ねることそのものに意味があるという考え方です。
実際にともかさんも、
「親に相談はするけれど、最終的には自分で決めています」と話します。
相談できる関係があるからこそ、
自分で決めることができる。
そんなつながりが見えてきます。
こうした関わりの中で、「自分で決める力」が育まれていたのではないか
たくさん話すこと。
まず聞くこと。
否定せずに受け止めること。
そして、一緒に考えること。
これらの積み重ねの中で、子どもは少しずつ、
・自分の考えを持っていい
・自分で選んでいい
・その選択を引き受けていける
と感じられるようになっていったのかもしれません。
もともとの気質も影響している可能性はありますが、
今回の2人の話からは、
家庭での関わりがその形成に関係していたと考えられる要素が見えてきました。
まとめ|何を教えるか、ではなく「関わり方」が大事
今回の話を聞いていて感じたのは、
特別なことをしているわけではない、ということでした。
少し話を聞く時間を増やすこと。
すぐに答えを出さないこと。
言葉の裏にある子どもの気持ちを考えてみること。
その積み重ねが、
「自分で決められる力」につながっていくのかもしれません。



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